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外国人の政治活動の自由について
今回は外国人の政治活動の自由は保障されるかどうかです。
前回の外国人に法律で参政権を保障することの憲法上の肯否はこちら。
外国人参政権における法的側面3
http://imperialproperty.blog.shinobi.jp/Entry/463/
引用元は「C-Book 憲法Ⅰ<総論・人権>」(LEC)より引用したものです。
△外国人の政治活動の自由
<以下引用>
問題提起:
政治活動の自由が憲法上保障される人権であるとしても、
外国人にもそれが保障されるであろうか。
理由:
思うに、政治活動の自由は前国家的権利であるし、外国人の政治活動により
情報の多様性が確保され、民主主義の実現に資する。
結論:
したがって、権利の性質上外国人に保障されると解する。
修正:
もっとも、政治活動の自由は参政権的機能も果たすので、
参政権が認められない外国人は、国民主権の見地から日本国民よりも
強い制約を受けると解する。具体的には、国民の政治的意思形成に影響を
与えるような政治活動は認められないと解する。
<関連条文>
憲法 第3章 国民の権利及び義務
第15条
1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2項 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3項 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4項 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、
その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第19条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第21条
1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
<関連判例>
事件名:在留期間更新不許可処分取消
所謂マクリーン事件(最大判昭53.10.4/百選Ⅰ[2])
※↑のアドレスが長いのでリンク挿入しました。
以下当該テーマに関係ありそうな判示を抜粋。
まず判示事項で
>四 わが国に在留する外国人と政治活動の自由に関する憲法の保障
するどうかこれについては裁判要旨にて
>四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又は
その実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当
でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。
と判示し、外国人の政治活動の自由を認めたものの
>六 外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌
して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の
判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例
に関しては、同じく裁判要旨によると、
>六 上告人の本件活動は、外国人の在留期間中の政治活動として直ちに
憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国
管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し
日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、
法務大臣が右活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる
相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え
又はその濫用があつたものということはできない。
として、国家の基本政策に影響を及ぼしかねない政治活動に関しては
一定の制約に服することを判例として明らかにしました。
<補足説明>
判例の立場は憲法学上、「限定保障説」といい、この判例により明確に支持されました。
一方、外国人の政治活動で国民の主権的意思決定に何らかの影響を与えるもの
であっても主権的意思決定そのものに関与するものではなく、また国民が多様な観点
からの見解に接することは国民の主権的意思決定にとって必要として影響に関わり無く
外国人の政治活動を保障すべきとする「無限定保障説」も学説にはあります。
とはいえ、学説においても判例同様に1参政権的機能を果たすこと、2国民主権の
見地から日本国民より強い制約を受ける、3国民の政治的意思形成に不当な影響を
与えるような政治活動は認められない、ことから限定保障説が通説になっています。
<当ブログ見解>
逆に言えば「国民の政治的意思形成に不当な影響を与えるような政治活動」で
なければ外国人の政治活動は認められるべきという主張でもありますが、その権利の
行使は制約的で自重すべきということでもあります。政治活動ですら抑制されることを
考えると国家レベルであれ、地方レベルであれ外国人参政権を認めるべきという意見に
対して法的にも否定的見解にならざるを得ないのは当然といえば当然ではあります。
地方参政権により全く国家の基本政策に影響を与えることがないという保証が無い限り
当ブログではどのようなものであれ外国人に対する参政権付与に反対致します。
国民主権の危機は民主主義と国家安全保障、自由意思そのものの危機ですからね。
この記事を以ってこのテーマはひとまず一区切りとさせて頂きます。
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画像変更。少し面白い画像と思っただけで特にタイフーン押しな訳ではありません。
かつて無い大災害に見舞われた方々には文字通りの大災難でありましたが一緒にまた歩き出しましょう。
(特に松村 劭 「戦術と指揮」)
地政学
(特に奥山 真司 「地政学」)
戦略論
(特にリデルハート 「戦略論」)
外交論
(特にジョセフ S.ナイ 「国際紛争」)
☆軍事書籍のベストセラー
(更にカテゴリーで絞っていくと見るだけでも面白いかと思われ)
=以下の人の本も(順不同)=
三橋 貴明
江畑 謙介
高橋 洋一
上念 司
岡部 いさく